樹齢が200年とか、300年のオリーブの樹。値段も高くて、大体樹齢一年あたり一万円くらいらしい。姿が見事で、その樹皮のごわごわとか、そこから出ている緑の葉っぱとか、思わず見とれてしまった。
西畠清順さんに、そんなオリーブの樹をどのように持ってくるのか、うかがったことがある。現地でいろいろ養生して、枝などは落として、ほとんど樹幹だけでもってくる。もちろん、飛行機などは使えないから、船でゆっくりやってくる。
日本について、土に植えて、オリーブの命が徐々に回復してくるのを待つ。やがて、枝が出てきて、緑の葉が出て、オリーブが、元の姿を取り戻してくるのを待つ。そうやって、ようやく、オリーブの樹のはるかな旅が完結する。
昨日のオリーブだけれども、室内に置いておくと弱ってくるので、3本あって、ローテーションしているのだという。あとの2本は、自然の中で養生していて、交代でレストランにやってくる。
大阪の真ん中に、樹齢200−300年のオリーブの樹があることで、訪れる人は、昨日の私のように、インスパイアされ、励まされ、力をもらうけれども、そのために、いかに多くの努力と、知識と、ノウハウがあるかと考えると、オリーブも凄いけど、人間も凄いなと思う。
オリーブの樹ははるかな旅をしてきたけれども、それを迎える人間の文化もはるかな旅をしている。大阪の街の真ん中でそんな「物語」に出会うと、人間も捨てたものじゃないな、という気持ちになる。
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