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朝からメッセージ

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久しぶりのニコ・ロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからメッセージ‼️『
風邪で寝ている間に起こること

ぼくは、3歳か4歳の頃だったか、風邪を引いて、熱を出した。そうしたら、夕方、寝ている枕のところに、それはそれは色鮮やかな電車が走っているのが見えた。とてもキレイで、魅力的で、小さな電車たち。それで、「電車が走っている、電車が走っている」と叫んだら、親がたいへん驚いたらしい。

幼い子に多いとされる、「熱譫妄」の症状であった。振り返っても、不思議な体験で、自分が見ている「電車」が現実のものではない、ということがわかっていても、ついその鮮明さに惹きつけられてしまうというか、そんな自分をまた外から見ている自分がいるというか、後にも先にも唯一の経験だった。

38℃台の熱が出ると、大人になってもさすがにきつく、うつらうつらしていると、熱譫妄とまではいかなくても、いろいろ不思議なことが浮かぶ。今回は、蒸気機関車を見事に消す、というイリュージョンに、自分が参加したはずだ、と思い込んで目が覚めて、必死になってなんだっけ? と思い出した。

目覚めて冷静に考えているうちに、「いや、そんなことはなかったはずだ」とわかってくるのだけれども、意識が戻った瞬間の、後から考えれば間違っていることに関する「確信」は強く、人は、いかに、誤った確信に捉えられるかということを自ら体験する実験のようなものだと思う。

現実と幻想の区別は、もともと曖昧である。そのことを健康なときは忘れがちだが、何らかのかたちでバランスを崩すと、その境界が溶けていく。風邪を引いて熱を出すことは嫌なことだが、意識のスペクトラムが持っている本来の豊穣に目を向けるという意味では、それなりに楽しいことでもある。

今朝、熱が下がって目が覚めたときにまっさきに思い出したのは、開高健の『地球はグラスのふちを回る』だった。確かに、よい感じで酔っ払っていると、そんな幻想に包まれることがある。森羅万象が一杯のテキーラに引き寄せられることもある。今年の花見は、グラス酒のふちに地球を回転させてみたい。』