ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからメッセージ
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今のスマホはかつてのスパコンである。学力向上のために、スマホを使うのを禁止しろという議論は、学力向上のためにスパコンを使うのを禁止しろという議論に聞こえる。おもわず、「お、おう」という反応にならざるを得ない。というか、化石的な感性だ。
スマホを何に使うかは、それこそ無限の可能性がある。文章を書くこともできるし(全文スマホで打って芥川賞を受賞した作家も現れた)、英語の論文をダウンロードして読むこともできるし、さまざまな情報を検索することもできる。
アクティヴラーニングや、探索学習などの先端的な学習の実践においては、スマートフォンは邪魔どころか、むしろ必須である。学力向上のためにスマホを禁止しろという主張における「学力」は、時代遅れである可能性がある。というか、時代遅れだと断じてかまわないだろう。
スマートフォンは、単なる道具に過ぎない。その道具が与えられた時に、それどどう使うのか、だらだらサボるために使うのか、それとも好奇心を持って調べたり、つくったりするために使うのか、そのような志向性を育むこと自体が教育の最も大切な役割の一つであろう。
スマホがあるとサボるから禁止する、という教育は二流以下である。スマホという道具があったら、探究心を満たし、手の中にあるスパコンを十全に使おうという子どもの心を育むのが本当の教育というものだろう。学力向上のためにスマホを禁止すべきという主張は、時代遅れ以外の何者でもない。
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