アメリカ大統領選挙は、少数の例外をのぞいて、ほぼ8年毎に共和党と民主党が勝利している。英国でも、保守党と労働党が政権交代してきた。このように、政権を担う勢力が交代することが、議会制民主主義における不可欠な「新陳代謝」となる。
政権交代は、政治家にとっても重要な学びのサイクルになる。与党になると、それほど冒険的な政策はとれない。急進的な主張をしていた人たちが政権をとると穏健になることはよくある。一方、野党は、政権運営の直接の重責から解放され、いわば岡目八目で政策を精査することができる。
政治家が、与党と野党の立場を交互に経験することには、以上のようなメリットがある。野党として醸成される能力と、与党として醸成される能力は異なる。それらを一定のリズムで交代して経験することで、政治家としての能力が高まっていく。
通常、議会制民主主義は、その時々の民意を反映した勢力が政権をとるべきだというもっともな理屈の上に成立している。しかし、以上のような見方をすると、政権交代が定期的に繰り返されることにメリットがある。極論すれば、たとえば6年毎にかわりばんこにやったり、くじ引きでもいいくらいだ。