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朝からメッセージ

ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『    f:id:barussnn127:20151102071250j:image録音された笑いによるLaugh trackを発明したのは、アメリカのテレビプロデューサーCharles Douglassだとされる。ダグラスは、収録の際に必ずしも「受けなかった」ジョークも、笑いをかぶせることで面白く感じるという現象に気づいた。笑い声でコメディを増量するのである。
テレビでコメディを放送するようになる前は、人々は、ミュージック・ホールなどで、他の聴衆とともにコメディを楽しんでいた。laugh trackはその当時の様子を再現しているともされる。他の人と一緒に笑うことによる一体感、笑いの強化といった効果を図ることもできる。
Laugh trackの効果は、明らかなのに、最近の英国のコメディがそれを使わなくなったのは、より、繊細な表現を志すようになったからだろう。元々、笑いには、ドタバタだけでなく、人間の性質の観察(observation)という側面がある。観察する上で、笑いは必ずしも助けにならない。
私たちは、日常の中で、お互いの限界や、弱点、勘違い、すれ違いなどに接して生きている。コメディの種はそこにある。笑うことは福音だが、同時に、認識の細やかさを損なう曇りともなる。The OfficeやDerekは、笑いという出力なしに、人間の脆弱さ、失敗を観察し続ける。
笑いなしのコメディは、一つの感覚であり、日常におけるお互いの弱さに対する配慮ある観察である。個性ゆえに失敗する人を、やさしく寛容に見守るという態度を、laugh trackのないコメディは育んでくれるのかもしれない。』