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朝からメッセージ


ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからメッセージ『f:id:barussnn127:20150914091807j:image入国検査導入に踏み切った。シェンゲン協定にもとづき、パスポート検査なしでの自由な行き来が行われていたのを、シリア内戦などの理由で殺到する難民の数の多さに、現実的な対応を迫られたのである。難民問題は、欧州連合の重大な危機だろう。
欧州連合は、二度にわたる大戦の惨禍の反省から生まれた。主権国家がお互いに自分の利益を主張し合い、戦争という手段に訴えればどのような悲惨な結果を生むか、自らの経験で身にしみてわかった欧州の人たちは、国家の主権を制限して、共同体を生むという「理想」を掲げたのである。
「現実」の対応と、「理想」の理念は、二つの異なる水準であり、両者を安易に混同してはならない。理想は、1日にしてならない。現実と理想は一般に乖離しており、一歩一歩近づけていくしかない。一気に理想の状態に向かわないからといって、すべてがダメということにはならない。
むしろ、一番問題なのは、「現実」にとらわれるばかりに、一切の「理想」を抱けなくなることだろう。これは、国家においても、個人においても同じだ。そもそも現実的な対応と、理想の鍛錬は別の水準なのであり、両者を混同せずに構想できることが、一つのすぐれた資質である。
今回のドイツの国境での入国検査導入は、現実的対応である。一方、欧州統合は、そう簡単には到達できない理想である。結局、理想という北極星を常に仰ぎながら、手元の現実に対してこまめな対応をし続けるしかない。
現実的対応と、理想の鍛錬を異なる水準のこととして立ち上げることは、個人の生活においても大事なことだと思う。すぐには自分が思い描くような場所には行けない。しかし、理想はエンジンなのであって、それがなくては前に進みはしない。今回のドイツの事態を見て、そのようなことを考えた。』