脳の働きとしては、嫌いは、無関心よりは好きに近い。何かひっかかるところがあるから、アンチになり、嫌いになるのである。なぜか、その人の悪口をいうことに多くのエネルギーを吐くということは、認知的に引っかかるところがあるからで、村上春樹さんは、多くの人の琴線に引っかかったのだろう。
「嫌い」の原因を分析すると、そこには、何か理由があるはずだ。例えば、その人が、自分がやりたくてもできないことを実現していたり、あるいは、自分の中にもある何かがその人の中にもあったり、何らかの理由で、その人が気になって仕方がないからこそ、その人を嫌いになる。
いろいろな人と話していて、一つの経験則として、注目されて大きな存在になった人は、ファンも多いが、アンチも同じように多いケースが頻繁に見られ、村上春樹さんはまさにそのようなケースなのだろう。「ひとをいらだたせる」、ということの中に、吸引力の場があるのだろうと考えられる。
逆に、誰かに対して、腹が立つ、いらいらする、嫌いで仕方がないという人は、自分自身を見つめなおすと、そこに何らかのヒントがあるのかもしれない。その人を批判し続けるよりは、自らの制御できるパラメータを修正する方が、おそらく人生としては有意義ということになるのであろう。
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