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いきなりメッセージ

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ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『  

ヒラリーさんを含め、すべての大統領候補の中で、トランプさんの「人気」は、注目度や、視聴率、SNSでの拡散度といった指標で言えば、ダントツだったと言えるだろう。しかし、それは、あくまでも大統領選挙という「reality tv」の中での演出、ネタだと、多くの人が思っていた。

「ほんちゃん」の、ガチな、もし選ばれれば核のボタンを押す可能性のある大統領を選ぶ闘いにおいては、まさか、reality tvやコメディ番組御用達のスター、トランプさんが当選するなんてことはないだろう、と多くの人が考えていたのだろう。それが、当選してしまった。

ネタがガチになってしまった。トランプさんの当選で多くの人が感じている虚脱感、信じられないという感じは、ここに由来しているのだろう。ガチでガチガチなヒラリーさんが勝てなかった。ガチが、ネタに破れてしまったのだ。

「メキシコとの間に壁をつくって、メキシコに払わせる」「イスラム教徒の入国を禁止する」「アメリカをもう一度偉大にする」。トランプさんの極端で過激な発言は、メディアの中でも、半ば「ネタ」として扱われてきた側面があるが、大統領への当選によって、その「ネタ」が「ガチ」になるのだろうか。

トランプさんは、実際に大統領になれば、周囲に優秀なスタッフも集まるし、今までの過激な「ネタ」的発言を抑えて、実務的な仕事をするのではないかという予想もある。地位が人をつくるというのはよく言ったもので、トランプさんが大統領になって「成長」するという可能性もある。

しかし、それでも、今回トランプさんを当選させたアメリカ国民が「メキシコとの間の壁」、「イスラム教徒の入国の禁止」といった「ネタ」を問題視せず、むしろ歓迎して支持率を上げたという事実は変わらない。良識ある人は、そのことに深い分断を感じ、傷ついているのだと思う。

考えて見れば、SNS上では、(日本でも同じだが)今回トランプさんが「ネタ」としていたような発言と同趣旨の偏見、傲慢、誤認があふれている。トクヴィルがすでに指摘していたアメリカ民主主義の力強さと脆弱性のうち、脆弱性が現れてしまったのが今回の大統領選挙なのだろう。

GoogleやTED、イーロン・マスクに象徴される、先端的で賢いアメリカだけが、唯一のアメリカではない。グローバル化人工知能といった世の中の流れに取り残されつつあった人たちの叫びが今回のトランプさんの「ネタ」だったとしたら、それをむしろ「ガチ」に考える必要があるのだろう。』