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朝からメッセージ

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ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『  

「芸術の秋」である。美術展を見に行く、という方も多いと思う。ところで、展覧会に行っても、どのように見るべきか、模索している方も多いのではないかと思う。そこで、以下では、私のオススメの「見方」を書きたい。

みなさん真面目なので、絵を、順番に、解説と読み合わせながら見ていく、という方も多いようだが、これは疲れるし、あまりお薦めではない。それよりも、作品を、クオリアとして、一連の流れの中で受け止め、感じることをおすすめする。

作品が並んでいる、その風景を、感覚として受け止めるのである。そして、惹きつけられる作品があったら、立ち止まって、じっと、そのクオリアを深掘りすればいい。引っかかるものがない作品は、むしろ流して早回しで動いてかまわない。

美術展で、何を記憶すべきか。作者名や作品名、年代などは、記憶できれば便利だが、それよりも記憶すべきなのは、質感である。その作品にしかない、固有の質感。ベンジャミンの言う、アウラのようなもの。それを記憶することが、一番の福音になる。

作品のクオリアは、細部の作り込み、その組み合わせによって成り立っているから、もし、時間があったら、その作り込みにこめられた愛をゆったりと受取り、そのようなものをつくる人の営みを讃え、感謝するのもいいかもしれない。

質感、すなわちクオリアを記憶するといっても、戸惑う方がいるかもしれない。名付けることができないからである。しかし、自分の中ではありありと残る。それが、時間とともに育っていくこともある。それだけが、芸術の福音である。

これは、芸術に限らない。人生の時も同じである。時々刻々を、二度と還らないクオリアのかたまりとして体験し、それを記憶する時、それは確かに言語にはできないものなのであるが、人生が私たちに与える喜びは、最大のものとなる。そのような態度を訓練する場として、美術展は有効である。』