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朝からメッセージ

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ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『  

贅沢なものや、珍しいものを食べる必要はなく、ただ、まいにちのごく普通のごはん、たとえば、卵かけごはんでもいいし、梨でもいいし、ヨーグルトでもいいし、納豆でもいいし、それが「おいしい」というのは実に素晴らしい、と感じるのである。

何よりも、へんな話だが、「おいしい」は裏切らない。「おいしい」と感じるのは自然な心の働きであって、ほんとうは「おいしい」と思っていないのに、無理やり「おいしい」と感じることはできないし、また、「おいしい」と思っていることを、脇からとやかく言うのもおかしい。

「おいしい」と感じることは、その場、その時でつきていて、自分の中で完結していて、もちろん、いっしょにごはんを食べている人と、顔を見合わせて、「これ、おいしいね」と言うことはあるかもしれないけれども、それでも、「おいしい」は、本来、それぞれの人の中で満たされている。

「おいしい」ということはその成り立ちにおいて単純だが、世の中のことはそうではない。文化の価値だって、政治の論争だって、栄誉だって、経済状況だって、人間関係だって、それぞれの複雑さは興味深いけれども、「おいしい」というほどのシンプルで潔い力強さはない。

文化や経済における「価値」は、複雑な方程式、さまざまなパラメータに依存していて、人によって言うことが違うし、評価も相対的である。ましてや政治における是非は、論者によって正反対であり、興味深い論点であるが、そう簡単にはすっきり行かない。

つまり、この世の中で、「おいしい」ということは、単純に信じられて、しかもその場でおしまい、という、素晴らしくシンプルな体験であるように思う。命を支えることは言うまでもない。複雑な世の中に不信を抱くような人は、「おいしい」を信じることから、生きることに対する信頼を取り戻せばよい。』