ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『このところ、さすがに忙しすぎて、夕方、疲れたなあ、と 茫然としていたら、空をひとつの黒い影がさっと横切った。都心には珍しいツバメだった。そしたら、とても気分がさわやかになって、元気になった。一羽のツバメで元気になった。
ツバメは、自由の象徴みたいなところがる。名曲「ドナドナ」でも、売られるためにつれていかれてしまう牛に対照されているのは、空を飛ぶツバメである。そんなイメージの積み重ねがあって、ツバメを見たら元気になったのだろう。
人間というものは、ほんのすこしのスパイスで元気になったり、インスパイアされたり、メタ認知の気づきが成立したりする。そのためのタイムウィンドウは短くていい。実際、私がツバメを見たのは、せいぜい数秒のことだったろう。
ずっとあることで追われていて、忙しくて、息がつけなくても、たった数秒、何かに接したことで別の世界への窓が開かれると考えたら、生きているのがたのしくなる。数秒間のツバメが、そのことを教えてくれた。』