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朝からメッセージ

f:id:barussnn127:20151114064332j:imageニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『

学習に対する一つのアプローチとして、「漸進主義」がある。一つひとつ積み重ねていく。英語で言えば、単語を覚え、三単現のsを覚え、中学では1200語、大学入試では6000語とか、限定してそれをマスターするやり方。
学習のもう一つのアプローチとして、無茶ぶりというか、いきなりのやり方がある。英語で言えば、いきなり、BBC4のラジオを聴くということ。一つひとつ積み上げの漸進主義は確かに必要だが、同時に、無茶ぶりもしないと、学習は深化しないと思う。
私たちにとって日本語は母語だが、日本語を習得したのは漸進主義によってではなかった。私たちの親は、「この子は三歳だから、今日の私たちの会話は、基本単語500だけを使いましょう」なんてことはしなかった。あらゆる言葉が降りかかってきたのである。
ラジオやテレビ、その他のチャンネルから、時事ネタからジョーク、ドラマ、議論まで、ボキャブラリーの制限を考慮しない会話にさらされることで、日本語の能力は獲得されていく。それと同じことを英語でやってはいけない理由はないだろう。
音楽評論家の吉田秀和さんにお目にかかったときに、「茂木さん、昔は野蛮でね、ぼくたちはドイツ語を学ぶ時、初回にアーベーツェーをやったと思ったら、次の回にはニーチェを読まされましたよ」と言って笑っていた。そういう野蛮は大いに結構である。
ぼくは中学生に話す度に、「いきなりBBCのradio 4を聞こう、いきなり原書を読もう、だいじょうぶだ、自分に無茶振りしちまえ、中学校で1200単語なんて、そんな制限無視しちまえ、そうじゃないと、遠くに行けないよ」とアジる。
特に語学学習においては、漸進主義の貫徹は害はあっても利益はない。大学入試で獲得される単語6000語に対して、ネイティヴは35000。一日10語学んでも定着率を考慮して10年はかかる。漸進主義をやっている暇はない。いきなりのぶつかり稽古が良い。』