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いきなりメッセージ

f:id:barussnn127:20150606135912j:imageニコ・ロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからのメッセージ『
うな(1)『東京藝大物語』刊行記念のイベントが、下北沢の本屋さんB&Bで行われた。担当の木村さんのご厚意で「第一回、東京藝大物語杯争奪、絵画対決」を行った。「60分一本勝負を行います」「赤コーナー、ジャガーこと、植田工!」「青コーナー、ハト沼こと、蓮沼昌宏!」のアナウンスで開始。

うな(2)50号のキャンバスに、アクリル絵の具で、「60分で絵画史に残る傑作を描け!」というお題。勝敗の判定は、会場の観客が投票して決める。それから、私が話し、また、小説中の感動場面で出てくる津口在五や、担当編集の西川浩史、柴崎淑郎(講談社)、金寿喚(新潮社)がコメントした!

うな(3)あれこれ話しているうちに、絵画対決中の植田工、蓮沼昌宏は着々と絵を描き続けた。植田は、女性が幼児を抱いている絵。蓮沼は、火山から噴煙(雲)があがり、そこから蟻が出てくる絵。たった60分という制限の中で、彼らはきっちりと勝負を決めてきた。

うな(4)なぜ、絵画対決をやろうと思いついたのか。『東京藝大物語』にあるように、彼らはアーティストになるという夢を追って、果たせなかったという設定(現実)の中にある。金寿喚の言うところの、「不発弾」。ならば、思いを果たす、その機会をみんなで楽しもうと思ったのである。

うな(5)さてさて、ついに60分が経過して、運命のゴングが鳴った。「そこまで!」と鋭い声が響き、ついに勝負は観客の投票による「判定」に持ち込まれた。質疑応答の際には「この絵は買えるのか!」という驚きのオファーもある中、ついに、津口在五が、集計を記した紙を持って入場した。

うな(6)「第一回、東京藝大物語杯争奪、絵画対決、60分1本勝負の勝者は・・・」津口が、あまりにも劇的な間を置き、観客が息を飲む。「・・・・ジャガーこと、植田工!」その瞬間、ため息とも歓声ともわからない声が会場を包み、植田がガッツポーズ、蓮沼昌宏はがくりと肩を落とした。

うな(7)なんと、聖母子像を描いた植田工の勝利、これは、多くの関係者にとって意外な結果でもあった。最近は蓮沼の方が画家としてはのしてきており、植田は、さまざまな活動をしつつも絵画的には迷いの中にあると考えられていた。一体、植田の勝利は、絵画の神様のどんな配剤であったのだろう。

うな(8)改めて植田工が描いた「聖母子像」を見ると、確かに、そこには、人々の心に訴えるシンプルな構図と、絵画の根源的感情のようなものがあるのかもしれない。『東京藝大物語』を読んだ人ならば、小説中で明らかにされた植田工の人生の機微を思い起こし、密かに涙するかもしれない。

うな(9)『東京藝大物語』の英語のタイトルは、Seize The Art (藝術を掴め!)である。その刊行記念イベントで、画家、植田工が、何かを掴んだ日。地上5センチの浮遊。アートを夢見るものは、あがき続ける。蓮沼だって負けはしない。第二回の絵画対決の宣告を、戦慄して待て!!!』