ぼくの青春の頂点は、でぶの哲学者の塩谷賢と、夕暮れの隅田川のほとりでマグロのようにねころがって缶ビールを飲んでいたら、カップルたちが半径10メートルくらいの円を描きながら汚いものでも避けるように歩いていった、あの時である。青春は無為で、しかしすべてを含んでいる。
日本という国は、だんだんきっちりしてきてしまっていて、進学でも、就職でも、結果が予想できることが大切となり、若者たちもまた、18にしてもう年金の話までしているやつがいる始末。しかし、それは進化ではなくおそらく劣化であって、青春がどこかにいってしまっているんだなあと思う。
青春を呼び戻すのは実は簡単で、未来を予想するのをやめて、「今、ここ」に生きればいい。それで、無限に向き合うのだ。無限に向き合っていたら、予想などできない。それに、無限は、「次がある」という「可能無限」でいい。青春を処方すると、元気になる人は世の中にいっぱいいると思う。』