水槽の中には、いつも餌になる魚がいるわけでもないのだけれども、ワニガメくんはとにかく口を開けて、舌の突起をチロチロやって、おいでおいでやっている。誰かが、君の水槽には今魚がいないんだと教えてあげればいいとも思うが、ワニガメくんのこと、教えてあげても、まだチロチロやっているだろう。
話が変わるが、ぼくはトンカツが好きである。前から気になってしょうがないのが、トンカツ屋さんの看板や箸袋に、ときどき、ブタくんの絵が描かれていることだ。それが、コックの格好をして、うれしそうに笑っている。ナイフやフォークをもって、いただきますをしている絵もよくある。
トンカツで、食べられてしまうのはブタくんのはずなのに、その食べられる本人(というか、本ブタ)が、うれしそうにしているのは、一体どういうことなのか。あれは、人間のうれしさを、食べられてしまうブタに投影しているやさしさなのか、はたまた人間のエゴ、勘違いなのかと気になっていた。
ニュース映像である方の表情を見ていて、ワニガメくんを思い出して、舌の突起のチロチロを思い出して、トンカツのブタくんのことに連想がなぜか飛んで、はっとした。ワニガメくんの舌のチロチロに引きつけられて口の中に飛び込む魚は、食べられる寸前、確かにうれしそうな表情をしているに違いない。
ぼくの中で、ワニガメくんのチロチロと、うれしそうなブタくんがつながった朝。ただそれだけなんだけど、今日の連続ツイートはそのことを書いて忘れないようにしておこう、と思った次第です。テレビの中のワニガメさん、がんばってください。』