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朝からメッセージ

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ニコロビンプレゼンツ茂木健一郎さんからメッセージ❗️『あのようなやさしさ、温かさは、どのような背景から生まれるのか、それ以外に、この世で重要な問題はない

このところ、ラッセ・ハレストレム監督の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のことを時折思い出す。やさしい映画である。表面的にだけでなく、ほんとうに根っこからやさしい心の映画である。シーンをあれこれと思い出してみると、そこに、人間に対する温かさ、やさしさがあふれていることが伝わる。

冒頭の、イングマル少年がひっくりかえって、それを見てお母さんが笑うシーン。星空に、「あのライカ犬にくらべたら、ぼくは幸せだ」「あの、運動場を歩いていた男に比べたら」というような連想の言葉も、広い世界に対するまなざし、共感が文学的感性で描かれていて、やさしく、温かい。

愛犬のシッカンが療養中のお母さんの寝室に入ってしまって、お母さんがパニックになって泣き叫んで、イングマル少年が、シッカンをかかえ、ベッドの下で耳を押さえて言葉を唱えるシーンだとか、シッカンが死んでしまったとわかって、庭の小屋に閉じこもってワンワンとシッカンのマネをするシーンとか。

寝たきりのおじいさんが、イングマル少年にカタログの文章を読んでもらい、それを聞きながらうっとりと目を閉じているシーンだとか。おばあさんが入ってくると、そのカタログをあわててベッドの下に隠すシーンだとか。みんなでボクシングの試合の実況を聴いていて、熱狂して飛び出してくるシーンとか。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の、人間に対するまなざしや、本当にやさしく、温かい。しかも表面的なやさしさではなくて、人間の弱さ、傷つきやすさ、この世にある不幸、別れ、すれ違いをわかった上でのやさしさである。ハレストレム監督の数々の作品の中でも、やはりこれが一番好きだ。

このところ、この映画をふと思い出すのは、あのようなやさしさ、温かさは、どのような背景から生まれるのか、それ以外に、この世で重要な問題はない、と感じるからだろう。シッカンが死んでしまったとわかって、庭の小屋に閉じこもったイングマル少年がワンワンとほえるシーンは、永遠の名場面である。