『Apple TVを買うと、「ラジオ」という項目があって、そこからBBCのRadio 4にも行けるのだけれども、Classicでは、Radio Mozartというのを愛聴していて、仕事をしている間はずっと聴いている。それで、このMCのおじさんが、なかなか面白くて思わずくすりと笑う。
「モーツァルトは、money problemsがありました。radio mozartも同じです」と淡々と喋って、「だから、寄付して!」と呼びかる。また、「私は実は作家なのだけど、http://amazon.com で本を売っていて、安いから、ダウンロードしてね」とか言う
Radio Mozart、二年くらい聴いていて、ひょうきんなおじさん誰なんだろうと思っていたが、今朝、ふと思い立って検索してみた。webpage があって http://www.radiomozart.net/ Apple TVと同じ曲をやっている(当たり前か)。おじさんの正体もわかった!
おじさんは、Daniel Pinkwaterというアメリカの作家で、Radio Mozartの熱心な聴き手らしく、それで、ジングルをボランティアで録音したようだ。その「見返り」みたいなかたちで、自分の本の宣伝を、ぼそぼそと(控えめに)録音しているらしい。
そして、Radio Mozart自体は、フランスのマルセイユに拠点を持つ、community radio stationであり、準拠法は、1901年に制定されたフランス法なのだという。へえ。二年間、ずっと聴いてきたけど、今朝まで、そういう背景は全く知らなかった。
なんだか、ネットの力、というものを感じる。24時間、7日間、ずっとモーツァルトの曲を流しているオンラインラジオが、実はマルセイユにあって、そのジングルをしゃべっているへんなオジサンが、アメリカの作家で、そのことを知らずにずっと暮らしてきたオレは、それでも恩恵を受けていた。
メディアというよりも、コンテンツの時代なのだと思う。メジャーなメディアと、マイナーなメディアがあって、いいものはどうせメジャーなメディアがそのうち拾う。だから、一生懸命、コンテンツをつくることが大切なんだろうと、私は考える。
24/7でモーツァルトを聴きたいという人は、決して大多数ではないから、Radio Mozartはメジャーなメディアにはならないだろうけれども、世界中に、熱心なファンがいるのだろう。私もその一人だ。世界中から少しずつ拾っていけば、メディアとして成立する。ネットがそれを可能にする。』